純恋〜スミレ〜【完】
「泣いてねぇよ」


「嘘……泣いてるじゃん……――」


優輝の瞳から零れた一筋の涙が、頬を濡らす。


声も出さずに涙を流す優輝。



「純恋……愛してる。こんな言葉じゃ足りないくらい。お前だけを……」


白い息を吐き出しながら、優輝はそっと手の平をあたしの頬に当てた。


じんわりと温かくなる頬。


優輝の温もりに涙が溢れだす。
< 458 / 487 >

この作品をシェア

pagetop