純恋〜スミレ〜【完】
その言葉を最後に、温もりがスッと消え失せる。
「……――お兄さん?お兄さん、どこなの!?」
嫌だよ……。
話したいこと、たくさんあったんだよ……?
あたしまだ、お兄さんにお礼言ってないよ?
ねぇ、お兄さん。
お兄さんは空の上からずっとあたし達を見守っていてくれたの?
夢みたいな本当の話。
誰かに話しても信じてもらえないかもしれない。
だけど、これは事実で。
お兄さんの声、温もりをあたし……
ずっと忘れないから。
「お兄さん、ありがとう。本当にありがとう……」
そう口にした途端、スッと何かに引きずり込まれるような感覚がした。
「純恋ちゃん、優輝をよろしく」
意識を手放す寸前、確かにお兄さんの声が聞こえた気がした……――。