純恋〜スミレ〜【完】

その言葉を最後に、温もりがスッと消え失せる。



「……――お兄さん?お兄さん、どこなの!?」


嫌だよ……。


話したいこと、たくさんあったんだよ……?


あたしまだ、お兄さんにお礼言ってないよ?


ねぇ、お兄さん。


お兄さんは空の上からずっとあたし達を見守っていてくれたの?


夢みたいな本当の話。


誰かに話しても信じてもらえないかもしれない。


だけど、これは事実で。


お兄さんの声、温もりをあたし……


ずっと忘れないから。



「お兄さん、ありがとう。本当にありがとう……」


そう口にした途端、スッと何かに引きずり込まれるような感覚がした。



「純恋ちゃん、優輝をよろしく」


意識を手放す寸前、確かにお兄さんの声が聞こえた気がした……――。


< 473 / 487 >

この作品をシェア

pagetop