純恋〜スミレ〜【完】
喉の奥に何かが張り付いているみたい。
うまく声が出せない。
その代わりにボロボロと溢れてくる大粒の涙。
唇がブルブルと震えて、ぶつかりあった歯がカチカチと音を立てる。
「……――純恋」
ねぇ、これって夢じゃないよね?
あたしの名前を呼ぶ、愛おしい人の声。
一歩一歩、二人の距離が近づく。
そして、
「もう泣くなって」
ベッドサイドに腰掛けた優輝は、あたしの唇にそっとキスをした。