純恋〜スミレ〜【完】
「……――ごめん、やっぱり今の話忘れて?」
優輝の顔を見ずにそう言うと、あたしはお兄さんが倒れていたという場所を見つめて、そっと両手を合わせた。
ねぇ、お兄さん。
あたし、今朝……お兄さんの夢を見たよ。
あの事故を思い出す度に苦しくてたまらなくなるんだ。
だけど、お兄さんはあたしよりもっと苦しかったよね。
もっともっと痛かったよね。
ごめんね、お兄さん。
本当に……ごめんね。