純恋〜スミレ〜【完】
降りだした雨は徐々に激しさを増していく。
あたしはその場に立ち止まって、優輝に顔を向けた。
「雨すごいし、ここまででいいよ?家、すぐそこだし走ればすぐ着くから」
「いいって。家まで送ってく」
「大丈夫だよ。送ってくれてありがとう」
「いや、俺が大丈夫じゃないから。ちゃんと家まで送る」
「初対面の優輝にそこまでしてもらうなんて悪いよ」
優輝はあたしを家まで送った後、また来た道を引き返すことになる。
だったら、ここで別れた方がいい。