純恋〜スミレ〜【完】
第二章
新たな恋の始まり
―――………
「……あ」
そんな男の低い声のあと、視界が徐々にクリアになる。
「ありえねぇ……。最後の一本だったのに」
その声と同時に視界にかかっていたモヤが一気に晴れた。
ここ……公園?
そうだ……。達也に呼び出された駅前の公園。
そこのベンチに、あたしと優輝が座っている。
「もうないの?」
あたしがそう聞いた時、体が大きな穴に落ちていくような感覚にとらわれて。
目の前がグニャリと歪む。
そっか、これ夢だ。
夢の中で夢を見てるって分かるなんて、あたしすごいじゃん。
そんなことを考えていると、目の前が真っ黒になって。
スーッと吸い込まれるようにそのまま意識を手放した。