純恋〜スミレ〜【完】
「ねぇ、山城君。別れようって言われるのが分かってて、なんでそれでも付き合ってたの?」
言われる前に、自分から言おうとか考えなかった?
あたしだったら、相手が自分に冷めてると分かった時点で自分の方から『別れよう』って口にしてる。
相手から『別れよう』って言われるよりも、ダメージが少なくて済むから。
「だって、分かんないだろ。ミナの気が変わるかもしれないし」
「だけど、ミナちゃんの気は変わらなかった……?」
「まぁ、結果的には。だけど、後悔はしてない。それにまだ完璧に諦めたわけじゃないし」
「山城君……」
「可能性が0パーセントになるまでは諦めない」
そう言う山城君の瞳はとても強くて。
あたしは嫌でも自分の弱さに気付かされた。
そうだよね。
みんな、損得勘定なしに人を好きになって付き合うんだもん。
本当に好きな人が出来れば、あたしは自分のプライドを投げ打って、恋に走れるのかな?
そんな日が……
いつか来るのかな……。