純恋〜スミレ〜【完】
「山城君って、やっぱりいい人だね。ていうか、いい男」
「なんだよ、急に」
「あたしも山城君みたいな人になりたいなって」
嫌味でもなんでもなく、確かにこの時そう思った。
山城君とミナちゃん、幸せそうな二人をあたしはいつも羨んでた。
二人の間に起こっている問題になんて気付くはずもなく。
あたしの横を通り過ぎていった自転車のカップルも。
ラブラブそうで何の悩みもなさそうなカップルも、実は問題を抱えているのかもしれない。