純恋〜スミレ〜【完】
達也に浮気癖があるって知ったのは、それから数か月後のこと。
一人暮らしをしてる達也の部屋の灰皿の中に、達也の吸っている煙草とは違う銘柄(めいがら)の煙草が押し込まれてたから。
吸い口についてたピンクベージュっぽいベタベタのリップグロス。
問い詰めると達也は、『姉ちゃんが来た』って平然と答えたけど、絶対お姉ちゃんじゃない。
その時、女の勘が働いた。
だって、その灰皿の横に≪HOTEL アダム&イヴ≫っていうラブホのマッチが置いてあったから。
「そのマッチどうしたの?」
聞けばいいのに、聞けなかった。
その時にはもう、達也の浮気を確信していたから。