純恋〜スミレ〜【完】
放課後。
クラスメイト達が次々に教室を後にするのを横目に、あたしはまつ毛をビューラーで持ち上げていた。
机の上には化粧ポーチと100均の鏡とナナに借りたガスコテ。
15分でできることには限界があるけど、ちょっとでも可愛いって思って欲しい。
ただの……身だしなみ。
優輝を好きとかそういう感情じゃない。
そう自分に言い聞かせる。
「今日会う相手ってこないだ言ってた男の子~?」
「ん~、そうそう」
「へぇ……」
あたしがそう答えるとナナは身を乗り出して、窓の外に視線を向けた。