キスチョコ【短編】
皆いっせいに笑い出す。



リサちゃんは恥ずかしそうに顔を赤くして立ち上がって熱弁ふるうあたしの服の裾を引っ張り「つ、つぐみさん、恥ずかしいです」と消え入りそうな声で訴えた。
そんなリサちゃんがあたしは可愛くてたまらなかった。


すでにリサちゃんを狙っていたヤツが2、3人いたらしい。
そいつらがいそいそとリサちゃんの周りに集まってナルに取られまいと必死にアピールを始めた。
そいつらに押されてあたしはリサちゃんとナルと少し席が離れてしまった。


ナルにはリサちゃんは勿体無いと思いながらもなんだかあっちはあっちで楽しくやってるみたいだし、あたしも妹分のリサちゃんの幸せのお手伝いができたことに満足だった。



いつもならこんな飲み会の後はナルの家に行って二人で飲みなおして泥のように眠るのだが、今日はそれはしなかった。
ナルがリサちゃんを送っていくことになったから。





二人が幸せになりますように…





そう祈りながらあたしは今までは二人で帰っていた道をひとり歩いた。
飲んだ帰りは不思議と人恋しい。
今までは隣にナルがいてくれたけど…



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