キスチョコ【短編】
「こういうの、止めてって言ってるの」


「こういうのってなんだよ。俺はただ食事にきただけだろ?俺は客だよ?」


「客だからって何してもいいっていうの?」


「あぁ?
おまえそんなこと言っていいのかよ?
なんならおまえの目の前でワイン零しておまえにやられたって言ってもいいんだぞ?
え?
俺の着てる服たけぇんだぞ。
おまえに弁償できるのかよ?
えぇ?」





あぁ、だめだ。
余計に話がこんがらがってる。
あたしは仲裁に入ろうと一歩踏み込んだ。
するとリサちゃんと男が話している前で鍋を洗っていたナルが目は鍋にむけたまま口を挟んだ。
リサちゃん達は店にはBGMが流れているしキッチンは忙しそうにガヤガヤしているからきっと聞こえてないと思っていたのだろう。




「お客さん、いい加減にしたらどうですか?それって営業妨害ですよ」


「あぁ?てめぇなんだよ。客に向かってその口のききかたはねぇだろうが」


「じゃあ、客としてじゃなく忠告だよ。彼女にチャチャいれんな」


「あ?おまえ何様だよ」







「俺は……













彼女は今俺の女なんだよ。
だから手ぇだすんじゃねぇよ」
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