キスチョコ【短編】
それからのあたしたちを待っていたのは目の回るような忙しさ。
あたしもリサちゃんも仕事に必死になっていた。
あたしもその間はさっきのナルのことを忘れてた。





最後の一組のお客様をお見送りして店がやっとカラになり、いつもより時間が押して締め作業に追われていた矢先、おずおずとリサちゃんが声をかけてきた。





「あの…さっきはすいませんでした」


「いいよ、あたしに謝らないで?もしどうしても謝りたかったら今日来てくださったお客様に迷惑かけてすいませんでした、って心の中で謝って?」


「はい……あの…つぐみさんも聞いてましたよね?」


「え?なにを?」




腰が痛くなるから大きらいな椅子上げをしていたからあたしの顔は少し不機嫌だったと思う。

だけど












本当はそれだけじゃない。














「ナルさんが“俺の女”って言ったの…どう思います?」
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