不良のあなたとあたしの物語(完)
始まったよー。


わたし緊張するタイプなんだよねー。


あっ、圭也走ってる。

『圭也~がんばってぇ~』


圭也と同じクラスの派手目な子たちが叫んでる。


なにさ。
ちょっとかっこいいからって。
なにこれ。単なる焼きもちじゃん。

恥ずかしい。
圭也には言えないや。


わたしの番じゃん。

バトンをもらって全力で走るわたし。


『早美ーいけー』

「ゆりちゃーん。」


誰かが応援してくれてるよ。

チラッと横を見ると圭也が叫んでいた。


ドキッ…。


めちゃくちゃうれしいじゃん。

走り終わって見事に1位になったわたしたちのクラス。


圭也を探したら…。

あの派手目な女子たちに囲まれて腕を絡められていた。


ふんっ。いいもん。

圭也なんか知らないんだから。
いったい誰が大事なのよ。

てかわたしどれだけ圭也のこと気になるのよ。


そう思いながら帰ろうとしたら後ろから腕を掴まれた。


「ゆりちゃーん。なんでそんなにスタスタと歩いていくん?」

「…。」

わたしはわざとシカトした。


「シカトっすか。なんなら…」

グイっと引っ張られて、わたしは圭也の腕の中にいた。


「なにすんのよ。こんなところで」


「ここじゃなかったらいいのかな」
< 12 / 201 >

この作品をシェア

pagetop