ひとりだけ。
今まで鳴り響いていた音楽と照明が一気に消える。
始まりの合図だ。


再度なりだす音楽とともに出てくるメンバー。

最初に出てきたのはミサちゃん。

やっぱりカッコいい。


ベース、ギター、最後にボーカルが出てくる。


『なんかドキドキするね☆』


由香の言葉を遮るように演奏が始まった。



その瞬間。
あたしはすぐにボーカルの『彼』から目が離せなくなっていた。


かっこ良いからとかじゃなく、彼の声。

あたしの好きなタイプの声をしていたから。


『ヤバい、タイプかも…』
そっと由香に耳打ちをすると

『マジで』

おっきな目をさらに大きく開かせていた。
そんなに意外だろうか?


『顔がっていうか声がね』

『声?顔じゃなくて?』


キョトンと、また目を丸くした。

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