明日の希望
女は俺の近くまで来て涙で潤んでいる瞳で俺を見つめてきた
溜め息をついて俺は女の瞳から目を逸らす。

「……やめよう」

「えっ?」

「嫌なんだろ?…初めては好きな奴とヤレよ」

「ごっ…ご、めん……グスッ」

潤んでいた瞳から何粒もの涙が溢れ出ていた。
俺は泣き続ける女の頭を撫でてあげた。

女が泣き止んだ後俺達はホテルを後にした。
俊達は今頃ヤッてるだろうしメールだけいれといて先に帰る事にした。

「送るよ、家どこ?」

「一人で帰れますので大丈夫です、ご親切にありがとうございます」

「もう暗いし送る…」

「いやいや、本当に大丈夫ですから。じゃあさようなら」

そう言って女は走って言ってしまった。
変な女…

「あれ?遥也?」

後ろから声が聞こえた。
聞いた瞬間俺は胸が痛んだ。
そう―…声の主は愛梨だった

「こんな所で何してるの?」

「……」

「もしかしてホテルいたとか?」

「……」

「あっゴメン。冗談のつもりで言ったのに…そっか…まぁお年頃だしね」

二人の間に、沈黙が流れる。
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