散歩猫、天神学生寮に行く
「で?」

薄ら笑いを浮かべ、しかし剣呑な気配を纏ったまま。

彼は電話の相手に先を促す。

その口元に浮かんだ笑みが。

「…………」

一瞬にして消える。

「ほぅ…ほぅ…情報ソースは?…わざわざCIAにハッキングしたんですか?ご苦労な事ですね…どこの組織です?…ああ、中東の…あそこは過激ですもんね…神様のお言葉のせいにして、無茶をやらかす…くくっ…うちの『神様』が聞いたら怒りますよ、きっと…わしのせいにするなってね…」

笑みが消えたのは本当に一瞬だった。

またクツクツと笑い出す彼。

「気に入らなければすぐにテロですもんね…随分と挑発的な事で…まぁ好きにやらせればいいんじゃないですか?そんな事、僕が出張らなくても世界のリーダー気取りの国家が何とかするでしょう…勝手にやらせればいいじゃないですか…で、標的はどこの国なんですか?」

笑みを取り戻した直後だったというのに、その笑みが。

「……!」

今度は完全に消え去った。

「ムカッチャパピリア共和国…ですか」

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