疲れ切った心
『放課後教室で待ってろよ』
昨日悠斗にそう言われ、大人しく悠斗を待っていた。
「珠理、お待たせ」
軽く肩を揺らした悠斗が教室に顔を見せた。
A組とD組の距離はそんなに無いのに走ってきてくれたんだ。
そう思うと自然と笑みが溢れた。
「何笑ってんだよ」
そう言って頭をクシャっと撫でられた。
「嬉しかったから」
髪を整えながら答えた。
「ほら、行くぞ」
鞄を肩に掛けると、悠斗が手を差し出してきた。
「なに?」
「手ぇ出して」
「こう?」
素直に左手を差し出した。
すると、悠斗指が器用に私の指に絡み付いてきた。
「恋人繋ぎ」
暖かい。
それに、大きい。
恥ずかしくなりながらも、悠斗の隣を歩いて昇降口に向かった。