疲れ切った心
「美味しかったわね」
「そうですね」
笑い合う母親同士。
食事をしているうちに意気投合してしまった。
父親同士は仕事の話で盛り上がってるし。
私と伊織は何とか趣味や好きなことで話を続けさせた。
「伊織、今日から珠理さんと2人暮らしだからな」
「ごめんなさいね、珠理さん。家事は得意だと聞いて使用人は付けなかったんだけど大丈夫かしら?」
2人暮らしも私が家事をするのも聞いてないんだけど。
「大丈夫です。任せて下さい」
「そう?ならよかったわ。2人の方が仲良くなれると思ったのよ」
仲良くする気なんて更々ないわよ。
「ありがとうございます。私も伊織さんと早く仲良くなりたいです」
照れ笑いを見せた。
「いやぁ~、女の子はいいな。珠理さん、困ったことがあれば何でも言ってくれよ」
「はい、ありがとうございます。その時は遠慮なく言わせてもらいます」
社長は悪い人ではないだろう。
私の目は節穴では無いから、食事しただけで分かる。