疲れ切った心




そしてそのまま夏休みに入って2週間。



悠斗とは一言も話してはいない。



「珠理、ただいま・・・・・」


「伊織、おかえりなさ・・・・・」



帰って来た伊織の顔を見て驚いた。



「どうしたの、その顔・・・・」



左頬が真っ赤に腫れていた。



「親父に引っぱ叩かれた」


「どうして・・・・」



左頬に触れると、まだ熱があった。



「ぃって・・・・」


「あぁ、ごめん」



冷蔵庫から氷を出し、袋に水と一緒に入れた。



「はい。とりあえず冷やした方がいいよ」



袋を渡すと、素直に冷やし始めた。



「ありがとう」



伊織の隣に座り、腫れている頬を見詰めた。



「そんなに見られると恥ずかしいんだけど」


「えっ?あぁ、ごめん」



ご飯の支度をしようと、立ち上がった。



「珠理、待って」



空いていた方の手で引き止められてしまった。
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