疲れ切った心
「本当に送って行かなくていいのか?」
「またその質問?」
門の所で心配そうに問いかけてくる伊織。
「私の家はここから近いの。それに荷物はこれだけ」
ね?とトートバッグを見せた。
「大丈夫だよ」
「ならいいんだけど・・・・」
本当、心配性なんだから。
「珠理、やっぱり彼氏にこのこと話せ」
クスクス笑っていると、突然真面目な話を言い出した。
「俺達の時のように、珠理と彼氏の恋愛には俺は無関係だ。でもこのことはきちんと話すべきだ」
悠斗に話す・・・・・。
そんなこと出来ないよ。
これ以上悠斗を苦しめることなんてできない。
「言わない」
絶対に言うものですか。
「珠理!」
「それより、たまに遊びに来てもいい?」
話が続きそうだったので、話題を変えた。
「あ、あぁ・・・・」
「ありがとう、お兄ちゃん」
「誰がお兄ちゃんだ」
私と伊織の会話に彼女さんが笑っていた。
「じゃあね。お幸せに」
2人に手を振って家までの道を歩いた。