疲れ切った心
珠理side



「ごめん。ちょっとトイレ」



結夢にそう言い残して教室を飛び出した。



トイレなんてただの言い訳。



あの場から離れる言い訳が欲しかっただけ。



行く宛てもなく廊下をボーと歩いていた。



「あれ?珠理先輩じゃないですか」


「茉美ちゃん・・・・」


「こんな所でどうしたんですか?」



こんな所・・・・?



辺りを見回すと、2年生を示す緑色のネクタイとリボンを着けている人達が多かった。



いつの間にこんな所まで来てたんだろ。



「あぁ、ボーとしてて・・・・」



苦笑いを見せた。



「珠理先輩がボーとしてたんですか?意外ですね・・・・」



意外?



そんなに意外かな?



「珠理さんがボーとしてたらしいわよ」

「イヤーン。そんな珠理さんも可愛い~」



「河野さんが無意識にココまで来たらしいわよ」

「考えてる河野先輩も素敵よね」



「珠理先輩の苦笑いも可愛いよな~」

「絶対彼女にしたら毎日が幸せなんだろうな」




周りからヒソヒソと聞こえてくる。



幸せ・・・・・。



私が、私が悠斗から幸せを奪ってしまったんだ。
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