疲れ切った心



PM8:42



陽一が帰宅した頃、家は真っ暗だった。



不思議と思いながらリビングに入ったが、人気がしない。



「洋子?」



心配になり、一部屋ずつ洋子を探し回った。



そして、珠理の部屋の前で茫然と座り込んでいる洋子を見つけた。



「洋子、こんな所で何をしているんだ」



陽一が声をかけても、珠理の部屋から視線をずらそうとしなかった。



「洋子?」



明らか様子が可笑しい洋子に近づいた。



近づくと、洋子の手には一通の手紙が握られていた。



「なんだ、コレ」



洋子の手から抜き取ると、目を通した。
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