疲れ切った心
「すみません。今日は仕事が入っていて」
「いいのよ。突然来たのは私なんだから。仕事、頑張ってね」
「ありがとうございます」
「今日のお夕飯は私が作って待ってるからね」
「はい。楽しみに帰って来ます!」
「なら腕に依りをかけなくちゃね」
「明日は何時頃に帰られるんですか?」
「10時くらいかな」
「分かりました。行ってきます」
「いってらっしゃ~い」
今日は日曜日。
一番忙しくなる月曜日に向けて用意をしなくてはいけない曜日。
そんな曜日に入ったばかりの私が休むなんて言えない。
後ろめたさを持ちながら、竹下宅に向かった。
「舞さん、明日10時30分頃の出勤って大丈夫ですか?」
「明日?ん~、大丈夫だよ」
「何?何か用事?」
准さんが話に加わって来た。
「今悠斗のお母様が来てるんです。明日の見送りだけでも行きたいなと思って」
「え?珠理、そんな大切な日に仕事に来たの?」
最近准さんに呼び捨てで呼ばれるようになった。
どうやら娘とあまり歳が変わらない私に“さん”を付けるのは変な感じがするんだって。
「はい。そうですけど・・・・・?」
「あんたバカ!?早く帰りなさいよ。こっちは私達だけでなんとかするし」
「大丈夫ですよ。いい人ですよ」
「珠理ちゃんがいいって言うなら大丈夫ね。この子人を見極める力を持ってるから」
「へ~、便利ねぇ・・・・・」
「珠理ちゃんを物扱いしないの。珠理ちゃん、こっち手伝ってくれる?」
「はい!」