疲れ切った心
「それよりさ、進路のことなんだけど」
弄っていた携帯を机の上に置いた。
「どうしたの?そんな深刻な顔しちゃって。進学でしょ?」
「そのつもりだったんだけどさ」
珠理が退学するまではそのつもりだった。
「俺、就職に変えたい」
「何で・・・・。お金なら心配しなくていいのよ?」
「そうじゃない」
お金の問題じゃない。
「卒業したらプロポーズしようと思ってる」
「悠斗がプロポーズ・・・・・?」
「あぁ」
真剣に答えると、突然噴き出した。
「悠斗が?プロポーズ?それ冗談?」
笑い過ぎだっつーの。
「信じらんない。悠斗が真剣な顔でプロポーズするなんて」
何時まで笑ってんだよ。
「珠理のやつ、家族の温かさって知らねぇんだよ」
「え・・・・・」
さっきまで笑っていたお袋が真顔になった。
「別に死んでるとか、捨てられてるとかじゃねぇから」
今は元気にやってるのか知らないが、珠理の所になんの連絡もないということは生きては居る。
「そんなアイツに家庭の温もりを教えてやりたいんだよ」
最近は作り笑いが減って来た。
このまま過ごしていたら今まで我慢してきたことを思いっきり出来ると思う。
「結婚したら自分の力で珠理を養ってやりたい。そう思うから」