疲れ切った心

戻ってしまった瞳



廊下の窓に寄りかかりながら結夢と話していたら悠斗と三条さんが目に入った。



「琴羽、無理すんなよ」



「大丈夫、最近調子がいいの」



台風から1カ月経った今、悠斗が三条さんに付きっきり。



三条さんの身体が弱く、昔から悠斗がサポートしてきたらしい。



“俺と付き合え”



婚約者が居たならあんなこと言わなきゃ良かったのに。



あぁ、そっか。



女の子に気持ちがあると結婚する時に直ぐ別れることが出来ないからか。



それでも彼女を作ったのは最初で最後の体験をしたかったから。



ってとこかな?



「ハハ・・・」


「え?珠理??」



突然笑いだしたことに驚いている結夢。



「どうしたの?」


「自分が馬鹿すぎて笑っちゃたの」



作り笑顔をすると教室に入った。



本当に馬鹿だ。



最近悠斗の望む事を出来るだけしてあげようと思ったことに



悠斗を信じてたことが



馬鹿みたい_______



婚約者が居るんだもんね。



私なんて眼中に入っていないのよ。



だから別れ話をすることを忘れている。
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