疲れ切った心
悠斗side
「珠理」
生徒会が終わって帰ろうとする珠理を呼びとめた。
「何ですか?」
「何で猫被ってんだよ」
時刻は午後7時前。
6月の下旬。
大分、日が延びてきたが俺たちが居る昇降口には俺、珠理、竹下の三人しかいない。
「何のことですか?用がないなら失礼します」
最後まで猫を被ったまま終わらせようとする珠理。
「待てよ」
帰ろうとする珠理の手首を咄嗟に捕まえた。
「三条さんが休みだと暇なんで私の所に来るんですか?」
えっ・・・・
折角捕まえた手首を無意識に離してしまった。
「婚約者が戻ってきたんですし、私とのお遊びはそろそろ終わりにしましょうか」
婚約者・・・・・?
それってまさか琴羽のことか?
そういえば珠理にはちゃんと説明していなかった。