桜吹雪
No.1
「春はあけぼの。」
とか言ってみる。
時は「第二次世界大戦」よりもう少し前。
季節は春。この季節になると、ここら辺は辺り一面薄紅色で埋め尽くされます。
僕の名前は千斗(チト)。この物語の主人公です。
今日あなたの住む所は晴れていますか?
僕の所は今雨が降っています。春の雨は少し肌寒いです。
「春はあけぼの。」
いつの間にか口癖になっていました。
僕の彼女の咲(サキ)さん、がよく言っていたのでそれが移ったのでしょう。
「やっぱり雨の日は嫌い。」
少し不機嫌そうに咲さんは僕に言いました。
「何故ですか?」
僕は縁側に座って咲さんに聞きました。
「だって雨が降ったら外に出れないし。それにせっかくの桜が雨でべとべとになっちゃうじゃない。」
少し哀しそうな顔をした咲さんをみて、僕は咲さんを愛おしく想いました。
「でも明後日ごろには晴れるそうですよ。」
僕は咲さんの頭を撫でながら咲さんにいいます。
「そうなの!?でも何故分かるの?」
一瞬顔を輝かせたあと不思議そうに訊ねてくる咲さん。
「今朝近所のおじいさんに聞きました。おじいさんの天気予報はよく当たるんですよ。」
そのおじいさんの天気予報はよく当たるって近所では有名です。
「明後日晴れたらどこか出かけない?」
これはデートのお誘いですね?咲さん。
「いいですね。」
もちろんお引き受けしますよ。
「明後日が楽しみね。」
笑顔で咲さんは言う。
「とても楽しみですね。」
笑顔な咲さんを見て、僕も自然と笑顔にまります。