好きな人の忘れ方
「さ、触れるの・・・・?」
その身体に触れようとした私の手が触れるか触れないか
「っ!!」
「気合入れりゃ、こんくらいは」
私の腕をしっかりと啓太郎の手が掴んだ
「・・・・・・・」
「おい」
「・・・・・・・」
「おい」
「・・・・・・・」
「遥(よう)」
「っ!!」
「まあ、びびるよな」
「・・・・・」
呆けて、その手を見つめる私の頭上でふっと啓太郎が笑ったのが分かって顔を上げた
「とりあえず、座れ」
腕を引っ張られて、自分の隣に座るようにと促されるまま、腰を降ろした
「最初に言っとくけど、蘇ったとかじゃねぇぞ」
「・・・・・」
「ちなみに、お前に霊能力が備わったとかでもねぇ」
「・・・・・」
「簡単に言う」
「・・・・・」
ふうっと溜息を吐いたのと同時、掴まれた腕が離れてさっきみたいなふわりと風のような気配がしたその刹那、私の背筋に冷たいものが通り過ぎた
「貰いに来た」
「・・・・・」
「お前の全部」