好きな人の忘れ方
一日目





とりあえず着替えて、顔を洗って、髪を結んだ





鏡に映る私は、二日酔いながらにまあ、普通







ゆっくりとリビングに戻れば、今では当たり前じゃなくなったヤツがテレビを見ながらソファに座ってる










「コ、ヒーヒー飲んだり、する?」








顔半分をドアから出しながら、そう声を掛ければゆっくりと振り返る









「いや、食ったり飲んだりしねぇから」


「・・・・・・・」








そ、そうよね


死んだ人間が生きてる人間みたいな事をする訳がない









ゆっくりと中に入りながら、なんだか分からない距離を取って、床に座った

















「・・・・・・・」

「・・・・・・・」




「あの・・・・」






依然テレビを見ながら何も言わない啓太郎に声を掛ければ、当たり前だけどこちらを向いて







「も、貰うって・・・その・・・」

「・・・・・」

「わ、私を?」

「そう」

「そ、そっか・・・」






だから、何を?

貰うって意味が・・・・







「わからねぇ?」

「・・・・」

「何って言われてもなぁ」

「・・・・・」

「俺がお前を貰うって訳じゃねぇしなぁ・・・」





考え込む啓太郎







「い、命とか・・・?」

「・・・・・・」





閃いた事を口にすれば、すっと真顔でこちらを見る




「じゃ、ないの?」

「何で?」

「・・・・何でって言われても」

「・・・・・」

「分からない、けど」

「ふーん」

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