好きな人の忘れ方
「あ。すみません・・・お構いなく」
「大したものなくてごめんね」
申し訳なさそうに、優しく微笑むおばさん
この3年で少し年をとった
それは、多分私も同じ
啓太郎だけ、あの頃のままだ
「・・・・遥ちゃんありがとう」
「いえ・・・」
持って来てもらった心地いい温度のお茶を手に取って、おばさんを見る
おばさんはこちらを見てなくて、どこか遠くを見るように啓太郎の写真を見つめていた
「早いものね」
「・・・・・は、い」
「遥ちゃんも綺麗になった」
「そんな・・・・」
そっと俯いた
掛けられる声に返せる返事は少ない
おばさん
今日、啓太郎が家に来ました
今もそこで偉そうですけど、こちらを見てます
もし私がそう伝えたらおばさんは、喜ぶだろうか
それとも、彼氏だった啓太郎を失くした私がいよいよおかしくなったと思うのか
一人でそんな事をぐるぐると考えてた