好きな人の忘れ方






「私、仕事なんだよね」





ソファに座って、正面を向いたまま何かを考えてるのか、その顔は無表情





「知ってる」

「支度するけど・・・・ご飯は食べない、んだっけ」

「ああ」

「そっか・・・・」







昔は・・・・、生きてる時は朝は食べないと昼間でもたないってうるさかった啓太郎はもう居ない






そんなの、分かってるし理解してるつもりなのに



あまりにも、あの頃のまま再び現れた啓太郎に過去をかぶせては違うと叩きつけられてるのはちょっと辛い







一人で食べたご飯は、いつもより味がしなかった





一昨日までは普通だったのに・・・・・





「はあ・・・・・」




どうせ、私が考えてる事だって聞こえてる啓太郎にわざわざ隠す必要もないと悟った私は、深い溜息を吐きながら味がしない朝食を詰め込んだ

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