好きな人の忘れ方
「え?一緒に来るの?」
「隣に居ると言っただろ」
「・・・・・そ、うだけど」
家を出る時から、何となく感じてた視線
振り返ってもそこには誰も居なくて
その違和感は、外に出て少ししてから判明した
どうやら、コイツは消えたり見えたりを繰り返してはいるけど、常に傍に居るようで
「・・・・・・・悪霊っぽいね」
「・・・・・」
「守護霊って感じしない・・・・黒いし」
「俺が知るか」
「まーね・・・・」
何はともあれ、路上で女が一人ごとを言いながら歩く姿はさぞ滑稽というか気味が悪いだろうとそれ以上は話しかけるのを辞めた
「遥ちゃんおはよう」
「あ・・・おはようございます」
毎朝寄る、フラワーショップの妙子さんがお店の前に居た
「いい天気だねー」
「はい」
「いつものでいい?」
「あ・・・・い、え・・・・」
「ん?」
「ちょ、っと今日は急いでるから・・・」
気まずそうに視線を落とした私は明らかに挙動不審なのに、妙子さんはそんな私を少しだけじっと見てから
「そう。気をつけていってらっしゃい」
「いって、きます」
優しく笑ってくれた
それは、初めて見た笑顔で、思わず見とれてしまうくらい綺麗だった