好きな人の忘れ方






私は、まだ気がついてない



どうしてこんな不思議な事が起こったのか




啓太郎が居なくなってから3年


この3年の間、啓太郎は夢にすら出てこなかった





夢なんて、自分の脳が作り出すはずなのに、一度も見た事はない






そんな自分を薄情だなって思いながら、過ごしてきた








毎日同じ事を繰り返して

同じ一年をこなして




唯一、気持ちを注いできたのが仕事だけだった私は、きっと世間からみれば憐れなんだと思う






それなら、それでいい



そう思い初めて、どうにか一人で息をするのも苦しくなくなってきた頃に







コイツは私の前に現れた





「・・・・・・気が散る」

「気にすんな」




会社のデスクの隣


浮いてるようで浮いてない

飛んでるってのも変だけど


私を観察するように傍に居る啓太郎のせいで、仕事にすら集中できない


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