アルバ…
「……なちゃん。まなちゃん。真海ちゃん。」


私は和真のお母さんに揺さぶられ現実の世界へと戻された。



「ここからを真剣に聞いてほしいの…」

ここから?

まだ、辛いことを言うの?




「おばさんたちで相談したの…」


「な、何をですか…」


私は震える声で聞いた。



「人工呼吸器を外してもらおうと思うの…」

「え?」


「あのままなにもできないのに苦しませてまで、生きせるのは…耐えられないの………」









私は和真の近くに立ち、和真の手を握った。


和真、苦しいよね…

辛いよね…

和真のね、お母さんたちが和真を楽にしてくれるって…

良かったね…


もう苦しまないでね…


最後に…最後に一つだけ文句言っちゃっていいかな…





結婚…したかったよ…

和真と幸せな家族をつくりたかったよ…


和真が仕事から帰ってきて「おかえり」って笑顔で言いたかったよ…


あなたとずっとずっと一緒にいたかったよ…






でもね…和真を苦しめたくないから…これくらいにしとくね。


和真…天国で待っててね。

私がヨボヨボになったら会いに逝くから…


私が和真の分まで一緒に年取っていくからね…


だから、安心して眠って下さい。









2日後、和真から人工呼吸器がとりはずされた。




葬式・告別式も無事終わり、和真は旅立った。

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