Knock out!
放課後。
私は案の定、会合のために
残された。
クラブに入ってなくて助かった。
けど、小松くんと二人なんて…
嫌だ。気まずすぎる。
「幸村さん、だったよね?
会議、始めよ?」
「は、はい…」
「あ、それと、敬語じゃなくていいし、俺のことも『くん』づけじゃなくていいから。」
そうはいっても…
「あなたも私のこと『さん』づけじゃん。」
「ああ、そうだね。」
そう言うと、小松くんは私に近づいてきた。
そして、私の前の席に来た。
「やっぱり、あんた面白いわ。」
小松くんはさらに私に顔を近づけてきた。
「へ?……………………小松くん、ち、近い…」
体が、震える…?
どう、して……?
「でも、だっせーなー…その髪型。後ろで束ねただけって…」
小松くんは私の髪に触れた。
私の心臓がさらに跳ね上がる。
「こんなにきれいな髪なのに…」
彼は言いながら私の髪をとめたゴムを優しくほどいた。
さらり…
私の髪が開いた窓から吹いてくる風になびいた。
私の髪は長い。
何年も切ってなかった。というか、わざと伸ばしてた。
けど、そろそろ切ろうと思ってた。
「お前……」
小松くんは私の髪を眺めながら私を見た。
真っ黒な瞳……
吸い込まれそう…
「まあ、いいか。
今のは俺だけが知ってるんだ。」
「えっ?なんて…?
よく聞こえない…………っ!!!」
ファーストキスは、突然だった。