Knock out!
「いや………離…してっ…」
気がついたときには、もう、私は小松くんの腕の中にいた。
動け…ない。
彼はキスを止めない。
彼のキスは優しかった。
体の…力が抜けていく…
「小、松ッくん……っ「『くん』付けはなしって言っただろ。」
「へ……」
小松くんは突然キスを止めた。
「名前でいい。俺の名前を呼ぶんだ。」
「名前って……そんなの無理…」
だって…
もう、動悸が……
小松くんにも、わかってるはずなのに…
「呼ぶまで、俺は離さない。」
「そんなの、できない…」
小松くんの手を振り払えず、ただ首を振るしかない自分が憎い…
「はあ。まあいいや。そんなにすぐじゃなくても…」
彼はそっと、私を解放した。
なんで…
なんでこんなことするんだろ?
私なんかに
なんで?
「クラスのことは俺が決定する。じゃあな。麻李。」