甘い誘惑


あぁ、もう…

ほんとに私ったらタイミングの悪い女だ…


でも、この道を通らないとかなりの遠回りで帰らなくてはいけない。


仕方ないよね…


私は、抱き合って熱烈なキスを交わす男女の方へ、うつむき加減で向かった。


なるべく気配を消すようにして、足音をたてずに進む。



「…んんっ……」



まるで私の存在になどないかのように、構わず漏れる甘い声。


やっぱりみんな、あんな感じなのかな…


ちょうど2人の横を通る瞬間


憧れからか、羨ましさからか…


私はほんの一瞬、うつむいていた目を上げて、2人に視線を移した。



それが、間違いだったんだ…



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