短編
嘘つき ※
「嘘つきな彼氏を持つと彼女はとても大変なの。」
私の目の前に座る彼女がそう言った。
彼女がいるのにいないとか言ったり、暇だったくせに忙しいとデートを断ったりと。なんて酷い男なんだ。
早く別れれば?なんて彼女に言えば好きだからなんて謙虚な答えが返ってきた。
「じゃあ、彼を待たせてるから。」
嬉しいそうに微笑んで教室を出ていった彼女の後ろ姿を見送った後教室のまどから校門を見つめる。そうしたらさっきまで話題になっていた彼が一人で校門から出ていく姿があった。
「あれ?あの子いないじゃん。」
彼一人だけの姿に置いていかれたのかな?とか考えてたら校門からでて行こうとしていた彼が顔を青ざめて学校の方に走って戻ってくるのが見えた。
「?」
その行動が不思議で首を傾げてたら携帯がなった。
『嘘つきな彼に今日言い聞かせようと思うの。』
あの子からのメールだった。
まだ続くメールをゆっくりとスクロールさせていく。
『あなたには私しかいないって思い知らせてあげるの。』
なんだか冷やせが出てくる。見ちゃいけないそんな気がする。
「助けてくれ!」
スクロールし終えたと同時に彼が教室に入って来た。息が切れ切れで怯えた顔をする彼に私は携帯を見せながら呟く。
「早く、逃げて…!」
『ねぇ?そこにいるんでしょ?』
添付されていた写真には大きな包丁片手に微笑む彼女の姿。