最低な恋人
「由奈はいいよねー。
あんなかっこいい彼氏がいてさ。
しかも幼馴染とかもう少女漫画の域でしょ。
羨ましぃー」
私なんか彼氏ができたことすらないのに…と愚痴をこぼすのは、
親友の礼奈。
礼奈とは高校からの仲だけど、入学式で話しかけてくれてからは
驚くほど気があって、今はどんなことでも話せる仲だ。
唯一、裕司との過去を除けば。
「それで、最近どうなの?
どこまでいった?」.
どこまでって…
「何もしてないよ。」
たぶん裕司もどこかで気づいてるんだろう。私の気持ちに。
だから、キスも抱きしめることもしない。
手すらもつながず、ただ頭を撫でるだけ。