最低な恋人
「えーどうして?
もうとっくに最後までヤっちゃったのかと。」
「ちょ、声がでかいってば。
目立つでしょ!」
と言ったそばから近くにいた彼が聞きつけて、
「俺は純情ボーイなの。
そこらへんの軽い男と一緒にすんな。」
ふざけたような口調だったか、明らかに自分を庇うために会話に乱入してきたようだ。
彼にしか聞こえないように、ありがとうと耳元で囁く。
「別に。」
照れ臭そうにそう言う彼をやっぱり私は好きだ。
この好きが彼と同じ好きになったらどれだけ楽だろう?
愛しいと思えたらどんなに楽だろう?