掲示板のすみっこで


「気持ちがわからないし、わかりたくもない。あんたは間違ってる。最低だ」


それは彼が下した最終的判決

これ以上、話しても得られる情報はない。より不快になるだけ。だから冷たく遠ざけた

近くにいることほど苦痛なことはないんだろう


「俺は自分の気持ちから逃げたくなかった。
好きになったから告白したかった」


真横をすり抜ける橋本くん。逸らさない目が映すのは少しだけ足を止めたけど、すぐに動かした足と鋭く睨む目、そして


「恋人がいないから、そんなことが言えるんだ」


口から零れた言葉は耳が拾う。鼓膜を揺らすそれは、意外にも心を突き刺す原動力で


吹き付ける風、もう冷たいとも寒いとも感じない


ただ、痛くて、苦しくなった


足音が消えたところで顔を上げると夕闇に包み込まれている公園内

周りに人は見当たらなくなっていた


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