掲示板のすみっこで


マイページに戻って、ようやく一呼吸

慣れないことはするもんじゃない。震える右手を左手で包んで落ち着かせる

気が緩み、意識していないでも次の行動が染み付いてる指が向かうのは「掲示板」



”恋人がいないから、そんなことが言えるんだ”


突如、思い浮かんだ橋本くんの捨て台詞


確かに俺がいくら気持ちを伝えたところで、彼女がいる橋本くんが賛同してくれるわけがない

まして、自分の意見を肯定してもらえる可能性なんて皆無

当たり前だ、押し付けてるんだから

よくよく考えればわかること

だって、有り得ない。有り得ちゃいけない。理屈ではわかってたはず


でも気がつけば、許されるんじゃないかって


三人が認めてくれたあの日から、バカげていると一度は打ち消した行動を、間違ってないんだって思い込みたかった


『告白することはすごく勇気が要るよね。だから、けんはすごいよ』

『俺も。読んでてカッケーって思った』

『色々言われちゃうかもしれないけど、うちも良いと思うよ』



こんな言葉に騙されてないで、悔やめばよかったのに


いつまでもずっと自責の念に駆られていればよかったんだ



こんな思いをするくらいなら


彼らに会わなければよかった


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