掲示板のすみっこで


「桑井くん?どうって?」

つい聴き入ってしまった。やめておけばよかったのに、そう思い知らされたのはすぐ後


「やーっと離れられたじゃん。正直、意識してなくても隣りってしんどかったでしょ?」

「そんなことないよ。普通だよ。みんなが言うほど桑井くんって暗くないし」

「あ、浮気発言。彼氏に言っちゃおっかなー」

「ちょ、浮気とか絶対ないから!」

「それじゃあ瀬野に会いに体育館行ってくるねぇ」

「まっ、よ、余計なことは言わないでね?」


椅子を引き、机に鞄を置く物音にその場を離れた

曲がり角に身を潜めると話し声、笑い声と足音が遠ざかっていく


静まり返ってわかるうるさいくらいの自分の鼓動の大きさ

ドクドクドクドク、胸に手を当てなくてもそんな振動音が立っていることは予想つく

その原因については範疇外だった


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