掲示板のすみっこで


正直、勢いだけで実際はその決意に追いつけてない自分がいた

恋人がいる人に告白するなんてバカげてる

そんなことして何になるのか

目を覚ましてやめるべきだ

ブレーキを掛けるのとは裏腹に意思は固まっていく



季節は変わり、大学受験を終えたのは2月初め。残りの約三週間は頭の中がそのことだけを占めていた


それから間もなく、バイト先にとんでもない新人が来ることはもちろんまだ知らないで、久しぶりのコンビニ業務に四苦八苦していた


あっという間に迎えた卒業式

澄み切った空、晴天、風も天候も穏やかでまるで門出を祝ってくれるような雰囲気

在校生、先生、親御さんと沢山の人に囲まれる卒業生

式で何をしたのか、校長先生が一体どんな言葉でお祝いしとくれたのか、あまり覚えていない

ただ、卒業証明の名前を呼ばれた時、返事がひどく震えていたことは記憶に残っている


気がつけば、俺は校舎の陰にいた

右肩には鞄を抱え、計画的に荷物を持ち帰ったおかげで、中身は最後のホームルーム(残念ながら、担任の先生の最後の話も忘れてしまった)で受け取った卒業証書が入った筒だけ

遮る物の無い中で転がる微かな音は、目の前の浅川にも聞こえているだろうか


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