掲示板のすみっこで


「……店長、」

店長は困ったように額に手を当てて、指先で頭を叩いた

俺は両手を膝の上に置いて、店長がシフト表と履歴書を見下ろす様子を傍観している気分だった

「桑井」

「はい、」

「これはどうしたらいいんだろうな」


店長に呼ばれたことで、第三者にいるという以上の役割を言い渡され、輪に巻き込まれた

とは言え、俺のバイト勤務時間が終わっても姿を見せない橋本くんに、無関心ではいられないし、いるつもりだってない


「…一応今日店終わりに様子見に行くけどな。ったく、彼はどうするんだろうな。もしここにいられなくなったら」

うーん、と首を捻りながら片肘をついて、ボールペンを回す店長

もう片方の手は橋本くんの履歴書を目の高さまで持ち上げてた

昨日も似たようなことを聞いた


『これが続くようだったら考えないとな』

『すっぽかすようなら、それなりのことをするしかないだろ』

この人が言おうとしていること、もう固まってる決意やら達しそうな結論に嫌な予感がする


「店長…」

ゆっくりと立ち上がり、この店の1番の重鎮を見つめた


「お願いします!橋本くんにもう一度チャンスをください!」


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