掲示板のすみっこで
一つ一つを棚に並べながらもう二週間以上いるのに、距離が縮まらないことにため息が漏れた
指導係なのにな……
仕事とプライベートは別。だからプライベートまで仲良くなりたいわけじゃないけど、もう少し打ち解けられないかな
下部に陳列しようとしゃがんだ時、後ろからガタンと音がした
「これも…お願いします」
真後ろに立っていた橋本くんは、さっきの緑のカゴにパック飲料が入っているのを持ってきてくれた
「あ、ありがとう。やっておくから置いといて」
声には出さないで頷くだけ。無口にしたって無骨な態度はどうしたら良くなるのか
「あっ、待って!」
中身を片したばかりのカゴをまたカートに積み、戻っていく橋本くん
「なんすか?」
不審そうな彼を手招き。運んできてくれたパック飲料入りのかごを持つように促す
訝しげにしながらも両腕で抱えた。その腕には軽く血管が浮き出ている
「これ、なんすか」
「最近、聞いたんだ。女子は男子の腕の血管が浮き出るところ良いって」
「……そう」
「あとはメガネを上げる仕草。橋本くんはどう思う?」
「……さぁ、」
完璧無視されると思ったから、予想よりは反応してくれたけど、かなり冷めてる
それに対して何て言っていいかわからなくなって、口をもごつかせると煩わしそうにかごを下ろした
これ以上俺が言うことは無いと察して「じゃあ、」とレジに戻っていこうとする