掲示板のすみっこで



「あの!」


しゃがんでいた格好から立ち上がる途中、店内に一人の男子学生が入ってきた

俺の出身中学校で、学ランの後ろからシャツをはみ出した彼はコンビニ袋を乱暴にレジに置き、レシートを橋本くんに突き出した


「これ、割引されてないんですけど」

そのままの姿勢で彼の指先辺りを見つめ、動かない橋本くんに男子学生は更に突き付ける

さすがに受け取ったが、面倒そうに頭をかいてレシートとにらめっこ、レジを操作しようにも精算は終わっているから動かない


「あの、早くしてください」

沈黙し、男子学生もどうしたらいいかと困惑している。上手くいかない上に急かされて、橋本くんは苦虫を噛みつぶしたような表情を浮かべた


盛大なため息か、憎々しげな舌打ちか、どちらかを口から発してしまいそうな空気。慌てて痺れる足を引っ張りながらその場へと向かった


「どうしたの」

背後に回って覗き込む


「これ、クーポン使ったのに割引されてなくて」

男子学生は保存されていた割引券を表示した携帯電話を見せてくれた


「申し訳ございませんでした。ただ今、差額をお渡ししますので少々お待ちください」


一礼して、橋本くんが手に持つレシートをまた覗いた


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