掲示板のすみっこで
「お待たせ致しました。こちらが領収書になります」
元々字が上手くない俺は、更に緊張も相俟ってぎこちなくなった筆跡で書かれた紙を相手に差し出すと、言い終わるか終わらないかのうちにそれは奪われた
「…ありがとうございました!」
また橋本くんのいつの間にか組んでいた手を下ろすように促しながら、頭を下げると、ドア二歩手前でチンピラ風お客様が振り返った
「なぁ、あんた、桑井……さん?こいつ、新人のさ、態度おかしいだろ。もうちょっと、ちゃんと教育しといてくんないかな」
口早にそれだけ言い残すと風のようにその人は去っていった
ドアが開いたことで鳴る入退店の音楽だけが爽やかに流れている
「……ありがとうございました…」
店を出てすぐに走り出したチンピラ風お客様の姿はすっかり見えなくなっていたけど、もう一度頭を下げた
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