掲示板のすみっこで


休憩時間の間、ずっと考えていた

彼女がいるかどうかの話の切り出した方。どうやって聞き出すべきか、どの手段が1番最適か

ちゃんとした方法が思いつく前に上がりの時間になった


あぁ、頭が痛い……


ガンガン不協和音が響く脳内。軽く片手で抱えながらバックルームに足を踏み入れた


「お疲れ様」

休憩で先客となっているのは橋本くん。ここのところ指導係として同じ日にシフトに入ってる以外にバックルームで一緒に時間を過ごすことも多々ある。とはいえほとんど会話を交わすことはないのがいつも。さて、今回のこの機会は幸か不幸か


「……お疲れ様っす」

操作していた一昨日の黒い携帯電話を慌てて閉じ、腰掛けていた丸椅子から立ち上がった

ズボンのポケットにしまい、ロッカーの鞄をがさごそと探りながらまた丸椅子に座る

ちらちらと俺を気にしながら送られる視線に耐え切れず、いつかとは逆で自分がカーテンで仕切った更衣室で着替えを始めた


あーもう着替えるなんて予定じゃなかったのに。ちゃんと聞いて、すっきりさせてからそのまま帰るってしたかったのに、のに……


でも、こうなったからには仕方ない



ロッカーをしっかりと閉めて気合いを入れ直す。が、カーテンを引いてすぐに見えた彼の姿。こっちを向いたわけでもないのに心臓がきゅっと萎縮する


今日はやめておこうか、いやいや、今じゃなきゃダメだ。弱気になる心を奮い立たせて呼んだ
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